เข้าสู่ระบบ大樹様の元を訪れてから10日が過ぎ、屋敷の中はいつもと同じような落ち着きを取り戻しつつあった。
あの後は何事もなく屋敷まで戻ってくると、父さんとガルバン様、それにエルザまでが執務室にて話し合いがされたようだ。大樹様の復活をどのように報告するかを相談していたんだと思う。
去年までは大樹様は切り株姿だと毎年報告はしてきていた。ただ、いきなり普通の気になりましたと言っても信じてもらえないだろうから、どのように報告するのかは大切だ。
今回は目撃したのが伯爵家のガルバン様と、往生であるエルザだから、その話の信頼性があると思うけど、王家がどのように話をとらえるのかは予想できない。
間違いなく大ごとになっちゃうのは目に視えているけど、報告しないという事は出来ないので諦めるしかない。
そんなわけで数日間は話し合いがもたれていた様だ。ようやく決まった時は三人ともに疲れ切っていた。
僕の方はというと、アルスター家の人達と共に修練所へと毎日通っては、僕が考えた魔法の使い方などを練習したり、フィリアとアスティと共にアルトと遊んだり、勿論勉強もしっかりとフレックに叱られながらもこなしている。
そんな中で、屋敷の中にあるヨームに気が付いたエルザがすごく興味を持って聞きに来たり、屋敷の人達が今まで考えられなかった魔法の使い方をしているのに驚いていた。それらのすべてを僕が考えたと聞いたのか、次第に僕の所へ訪れる事が多くなって、アスティやフィリアとも一緒に観る事が多くなり、次第にみんな仲良くなった。
「アスティ、ここはどうやるの?」
「え? う~ん……ここはこうじゃない?」
「あ、なるほど!!」
そして何故か今は僕の私室で、アスティとエルザは刺繍の練習をしているし、フィリアは僕のベッドの上で寝ている。アルトはソファーに座っている僕の側で寝そべっているのだけど、他に
しばらくするとフレックが馬車と共にやってきて、近くに停めた馬車から降りてくると、僕達の方を見てギョッ!!とした表情を見せる。そのままじりじりと近づいてくると、またお前か!? という様な視線を僕に見せつつ苦笑いした。「旦那様方。そろそろ戻らねばならないかと」「ん? そうだな。続きは屋敷に戻ってからにしようか」 フレックの言葉を聞いて、皆が腰を上げる。僕はまだベアーの上で寝たままのアスティを起して、眠そうにしているアスティを馬車の方へと誘導するように一緒に歩いていく。 ヨウは沈み始めていて、辺りは昼間から夜になろうとしていた。「なぁロイド」「なに?」 帰りの馬車の中で父さんが声を掛けてくる。「付いて来てるぞ……」「え? 何が?」 僕に向かってぼそっとこぼす父さん。 父さんが僕に声かけたのとほぼ同時に、御者台に居るフレックへと室内から合図を送ると、しばらく馬車は走った後に停まった。 ドランの町まではもう少しで着く距離にまで来ている。 馬車のドアが開けられ、フレックの顔がチラッと見えたのだけど、何故か眉間にしわを寄せて困惑しているように見える。 馬車から父さんが降りるのと同時に迎撃態勢を取った。その後にガルバン様が続く。僕とアスティは合図があるまで馬車の中で待機する。「ロイド……降りてこい」「う、うん」 静かな時間が少しだけ過ぎ、父さんが馬車の中へ顔を出して僕に向けて言葉を掛ける。「あれ?」
しばらくはその周辺を父さんやガルバン様が確認のために動き回る。待っている間にフレックは馬車を取りに向かった。 僕はというと、アスティと共に――。「はいはい。撫でてあげるからちょっと待ってね!!」「可愛い!!」 そう言いながら僕の周りに集まってきた動物たちを、アスティと共にモフりまくっていた。 外に出ているので、こういう事になるだろうなとは思っていたのだけど、まさか森の中の主と言われているベアーまで来るとは思っていなかった。 初めはウサギやリスなどの小さな動物たちが集まってきた。その後にカリブーやボアのような少し大きめの動物が来て、森のギャングと言われているウルフなどが隊列を組んで来たりしたのだけど、アルトの「ばう!!」という一鳴きを聞いた後は皆がおとなしくなって、争う事もなく何故か僕の周りにまとわりつくようになった。 そして最後に現れたのがのしのしと歩いてきたベアーの親子。さすがに危ないのでアスティは僕の後ろにいるように言ったのだけど、そのまま歩いて来たベアーは僕らの前に寝そべるとそのまま大人しくなって動かなくなった。 どうしようかとアスティと顔を見合わせて笑いあう。 僕の所に動物たちが来ることは分かっていたので、父さんは何度か僕らの所を確認に来てくれたし、ウルフの群れが僕に甘える姿を見たときには呆れていた。最後に確認に来た時のベアー親子の姿を見たときは、警戒したのかいつでも攻撃できる態勢を取りつつ僕らの方へと近づいて来て、ベアーの親子と共にお腹で寝ているアスティの姿を見て苦笑いを浮かべていた。 その後に来たガルバン様が、その様子を見てかなり焦っていたけど、特に何も問題が無く寝ているだけだと伝えたらホッとしていた。 そのまま僕らはしばしの休憩を取る。
僕は今、アイザック家の馬車の中にいてドランの町から少し離れたところまで移動している。目の前には父さんとガルバン様がいて、僕の横にはアスティが当たり前のように座っていてニコニコとして居る。 父さんやガルバン様とお話しをしてから3日後の事、僕の提案を実行するにはまずは土地が必要という事で、ドランの町からほど近く、更に水場もあって耕しやすいところという事を優先に探していた所、丁度いい場所が見つかったというので、何故か僕まで同行してその場所を見に行く事になった。 当初は僕と父さんだけが行く事になったのだけど、魔法の事もあるというのでガルバン様も一緒に行く事になり、それを聞きつけたアスティが『未来の為』という理由を付けて父さん達を説得し付いてくることになった。因みにいつも一緒にいるアルトは馬車の外側を走って付いて来ている。 ギギッ!!ドランの町から東へ少し進んだところにちょっと大きめの川が流れているのだが、その川岸へとたどり着いて、馬車は止まった。 馬車の御者をしているフレックが扉を開けて、父さんとガルバン様が降りる。その後を僕が降りてアスティが続いた。「ここか……フレック」「そうでございます。条件が揃う場所と言いますと、この辺りになると思います」「しかし、森が近いな……」「そうでございますね」 父さんとフレックが周りを見回しながら話をする。「この辺りに作るのか? ふむ……なかなかいい所ではないか」「いい景色です」アイザック領に来てからは、屋敷とスタン村やドランの街に少し行く程度しか外出をしていない二人にとって、領の中を歩くという事はほぼ無かったから、ガルバン様とアスティも周りの景色を楽しんでいた。
「――という訳だよ」「なるほど……」 ガルバン様は腕を組みながら、目を閉じて考え事をし始めた。「その他には何か変わった事は無かったのか?」「う~ん……特になかったような気がするけど……」 父さんの質問に、思い出す限りの事を思い出したけど、特に何買ったわけじゃないので、それ以上は新しいことを話せない。「もしかしたらだが……」「何か思い当たるのか?」「魔法が何かしらの作用を引き出したのかもしれんな」「「魔法が?」」 僕と父さんが同時に聞き返す。ガルバン様はこくりと頷いた。「魔法を使って土を入れ替えた時に、魔力が土に含まれてた。そして畑にも花壇にもあげていた水が魔法で出された水なのだから、同じように魔力が含まれていたという可能性はあるだろ?」「「なるほど……」」「……しかし、それが本当だとするとえらいことにならんか?」「確かにな。確証が無ければ報告は出来ないだろう。どうだろうマクサス」「ん?」「試してみんか?」「……そうだな。幸いこのアイザック領はまだ土地はある。その土地を新たな畑として試験的に行ってみるか」「そうとなれば、私達アルスター家も手伝うぞ」「それは助かる」 僕の事を放り出して、二人だけで会話が進んでいく。だから僕も一つだけ提案することにした。「あの……」「何かあるのか?」「うん。それなら、畑じゃなくて村みたいにできないかな?」「ん?」「新しい村みたいにして、今お仕事が無い人達に
大樹様の元を訪れてから10日が過ぎ、屋敷の中はいつもと同じような落ち着きを取り戻しつつあった。 あの後は何事もなく屋敷まで戻ってくると、父さんとガルバン様、それにエルザまでが執務室にて話し合いがされたようだ。大樹様の復活をどのように報告するかを相談していたんだと思う。 去年までは大樹様は切り株姿だと毎年報告はしてきていた。ただ、いきなり普通の気になりましたと言っても信じてもらえないだろうから、どのように報告するのかは大切だ。 今回は目撃したのが伯爵家のガルバン様と、往生であるエルザだから、その話の信頼性があると思うけど、王家がどのように話をとらえるのかは予想できない。 間違いなく大ごとになっちゃうのは目に視えているけど、報告しないという事は出来ないので諦めるしかない。 そんなわけで数日間は話し合いがもたれていた様だ。ようやく決まった時は三人ともに疲れ切っていた。 僕の方はというと、アルスター家の人達と共に修練所へと毎日通っては、僕が考えた魔法の使い方などを練習したり、フィリアとアスティと共にアルトと遊んだり、勿論勉強もしっかりとフレックに叱られながらもこなしている。 そんな中で、屋敷の中にあるヨームに気が付いたエルザがすごく興味を持って聞きに来たり、屋敷の人達が今まで考えられなかった魔法の使い方をしているのに驚いていた。それらのすべてを僕が考えたと聞いたのか、次第に僕の所へ訪れる事が多くなって、アスティやフィリアとも一緒に観る事が多くなり、次第にみんな仲良くなった。「アスティ、ここはどうやるの?」「え? う~ん……ここはこうじゃない?」「あ、なるほど!!」 そして何故か今は僕の私室で、アスティとエルザは刺繍の練習をしているし、フィリアは僕のベッドの上で寝ている。アルトはソファーに座っている僕の側で寝そべっているのだけど、他に
『ふふふふ……』――え? 今声がした? 僕は辺りを見回すけど何かが居るような気配はない。ただ気配のようなものは感じるから姿が見えないだけだろう。 すぐにアスティとエルザの方へと視線を向ける。「アスティ!!」「え?」 僕の大きな声にビックリしたアスティ。その事が合図となったのか、皆がハッと我に返り辺りを警戒し始める。「どうしたロイド!!」「何かあるのか!?」 父さんやガルバン様も臨戦態勢を取りつつ僕の方へと移動してきた。エルザも護衛の人達と共に少しずつ僕の方へと近づいてくる。「ごめんわかんないけど、何かいるような気がするんだ!!」「なんだと!!」「くっ!! 見えない敵か!?」 さらに混乱が広がる。『ふふふふ……大丈夫よ。何もしないから』「え?」 僕のすぐ耳元で聞こえる声。今度は完全に声として僕に伝わった。しかしどこを探してもその声の正体は見つからない。 ただその後も攻撃をしてくるようなこともないようなので、僕は大きく息を吐いた。「本当にごめんなさい。気のせいだったのかもしれない」「……そうか? まぁロイドはここで倒れたことも有ったからな。うん。何もなければいいのだ」「そうだな。良し!! では大樹様の元へとお供え物を!!」「「「「「は、はい!!」」」」」 ガルバン様の掛け声とともに護衛の人達がバタバタと走り出す。 あっという間に大樹様の側には、お供え物で山が出来上がった。







